石ころになった便器

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 これは明治時代の便器の破片。もとは牡丹の花と野の草の描かれた美しい染付の金隠し。川はまるで貝が異物を真珠に変えるように、便器をまあるく平べったい、河原の小石と同じ形にしてしまった。いったいどれほどの年月、川の水はその手で便器を撫でたのだろう。夏の日、便器の破片はカラカラに乾いた川底で太陽に焼かれ、あるいは泥に埋まり、大雨の時に濁流の中に放り出された。川面に眩しく反射する太陽光を、あるいは流れに広がる夕日の破片を、捨てられた便器は川底から涼しく眺めていたに違いない。冬の夜は、光の射さない凍てつく泥水の中でひっそり眠っていただろう。小さなうごめく生き物の棲みかになり、ある時代には生活排水にどっぷりと身を横たえ、そしてついに便器は石ころになった。昔の便器には、どうして野の花が描かれたのだろう。不浄とされた場所にバチが当たりそうなほど華やかな牡丹を配したのだろう。今よりも暮らしが自然とともにあり、すべてが石ころとなることを知っていたからかもしれない。
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 この写真は鞆で拾った染付便器です。金隠しの部分の内側に牡丹の花と目玉のような模様(たぶん蕾なのか?)が、外側には野の草が描かれています。今回拾った小片は比べてみるとやや薄手。そのあたりちょっと気になるのですが、模様のパターン、染付の雰囲気、土の感じは同じですので、たぶん便器だろうと判断しました。
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こちらは頂きモノの大きな破片。全体像がよくわかります。これも牡丹の花と葉のそばに目玉のような蕾?が描かれています。
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by touhen03 | 2009-08-13 21:02 | 海田町の川