一世紀前の偽物絵葉書

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 これは私が絵葉書蒐集をはじめた頃、京都の大きな骨董市で一度にたくさん買った時のものです。当時は絵葉書が今よりも安く、私が買ったもののほとんどは一枚あたり100円もしなかったと思います。そしてこれは日露戦争記念絵葉書で、日本の絵葉書としては古い時代にもかかわらず、特に値段は高くなく意外でしたが、まあ、よほどたくさん流通したのだろうくらいに思っていました。

 ところが「カラー復刻版 日本記念絵葉書総図鑑」島田健造著 友岡正孝編 日本郵趣出版という本に、この絵葉書のことが詳しく載っていました。それによりますとこれには模造品があり、本物とほとんど変わらない多色刷りのものから1色刷りのものまであり、特印を印刷したものまであるとのこと。もともと2種類の絵葉書がセットになっていて、逓信省では総数約50,000組を製造したうち、30,000組を凱旋将兵用に配ったので、一般発売用が少なくて購入できない人が多く、非常な人気を呼んで偽物まで出回ったんだそうです。当時は絵葉書ブームだったのです。

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 これが印刷された特印です。本来は郵便局で後から記念に押すスタンプですからね~ 変ですよね。ただ収集の初期にこれに出会った私はこんなデザインもあるのかと最近まで思っていました。わははは、真っ赤な模造品です。そもそもホンモノはカラー印刷なのです。 

 骨董市でモノを買う時、「この値段ではわざわざ偽物作っても偽物のコストの方が高くつくだろう」という判断をすることは多いのです。が、こんなケースもあります。100円でも偽物は買えちゃうのです。まあ、ホンモノでないのは残念ですが、しかしコレ、それなりにオモシロイです。印刷した特印のそばに、実はもう一つ特印があります。これは実際に押されたようで、よく写っていませんが、まったく関係ない「連合運動会 松本中学校開催」(実物は旧字)のスタンプです。野球のボールの形をしています。40-10-18とあるのは明治40年かな。内容と関係のない特印は、これもコレクションの世界ではマズイらしいのですが、考えてみたら100年以上前に作られた偽物絵葉書であるらしいのです。

 陶片もあるのに、蒐集分野を増やすのは無理と、一度はコレクションをやめようとした絵葉書ですが、いくらか整理しても、いつのまにかそれくらいの数は集まってしまったので収集をやめるのを諦めました。手彩色モノなど高価なモノには手を出さず、ひたすら人が欲しがらない安い絵葉書の山の中からおもしろそうなものを選んで楽しんでいます。



「平城宮跡を守る会」http://narapress.jp/hjk/
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by touhen03 | 2013-05-19 03:55 | 骨董市・ガラクタ