南天神バス停前干潟の陶片 その1

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 さて、瀬戸田町、南天神バス停前の干潟で出た陶片の紹介です。「くらわんか茶碗」「くらわんか皿」と呼ばれるタイプのものがたくさん出ました。上段すべてと、たぶん中段左端、そして下段左の皿は18世紀。残りは18~19世紀の江戸モノです。

 上段左端は陶胎染付です。江戸時代中期は磁器の器が庶民階層にまで普及し始めた時代ですが、「くらわんか」の茶碗や皿は陶石を原料に使った完全な磁器製品もあれば、粘土でできた陶器質の器に呉須で絵付けした陶胎染付もあります。そして「くらわんか」の器で一番多いのが陶器か磁器か迷うもの。実は陶器と磁器の原料を混ぜていたそうです。見たとおりの感じが正解だったのです。雑草のように健康な庶民の雑器です。上段中央はコンニャク判と呼ばれるスタンプで絵付けされた碗です。

 下段右端の小片だけは見込に松竹梅の簡略化した図案が使われた、「くらわんか」とはちょっとタイプの違う小皿です。比較的よく出てくる、高級品とは言えないものでしょうけど、周りには簡略化された蛸唐草か微塵唐草あたりがびっしり描き込まれていたりします。これは端っこにほんの少し残っている痕跡から、どうやら微塵唐草のようです。

 ある程度陶片のある干潟なら、江戸時代のものは出てくるものですが、たいていは江戸後期、19世紀以降のものが中心になります。庶民の器だった「くらわんか」と言えど、18世紀の陶片はそうそうボロボロ出てくるわけではありません。ただ17世紀の陶片が歴史的な背景があって出てくることが多いのに対し、18世紀の陶片は数が少ないだけで、一応どこからでも出てきます。とはいえ、18世紀モノがたった一回歩いただけでこれだけ出てくると気になります。




「平城宮跡を守る会」http://narapress.jp/hjk/
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by touhen03 | 2014-09-10 22:52 | 広島の島