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鞆の陶片(8月20日)

炎天下の海岸を歩いた後、数日疲れが取れず、仕事にも影響がありそうでしたので、しばらく浜歩きを止めていましたが、久しぶりに鞆へ行きました。焼け付くような陽射しはTシャツの上からでも、体にダメージを与えるらしく、疲れを蓄積させますので、今回は正味海岸で拾ったのは2時間半くらいです。
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内訳は江戸陶片10(17世紀小皿1 くらわんか皿・碗・容器5 江戸後期皿1 広東碗1 幕末線描きタイプ蓋1 瀬戸・美濃系碗1) 近代初期モノ3(染色体模様1 近代釉剥ぎ碗1 菊花型押し小皿1) 狸徳利6 醤油樽3 灯明具1(たぶん近代か) 型紙摺りタイプ12(皿6 碗4 蓋1 湯呑1) 銅版転写14(ウイロー・パターン1 洋皿小片1 目跡付皿1 蛇の目高台皿2 赤絵皿1 その他皿5 碗1 徳利2) 銅版かゴム印か不明の皿1 ゴム印4(五弁花付き容器1 盃1 皿2)画材パレット(梅皿)1おろし金2(統制番号入り1 茶色タイプ1) 統制番号入り小片1 緑縦縞タイプ3 味噌・醤油屋さんの皿1 保命酒容器???2(近代青磁、るり釉、どちらも小片、念のため持ち帰る)その他近代もの(墨弾き1 手描き蛇の目高台1) 計66個

丁寧に拾う気なら、狸徳利など保命酒壜はもっと持ち帰れたはずですが、今回はどこか体力が無く、粘りに欠けました。重たいものを拾いたがらない心理は微妙に影響したようです。それでも今回で鞆の海岸は4回目。代表的な海岸陶片がほとんど出揃いました。江戸時代では、くらわんか、陶胎染付、広東碗、幕末線描きタイプ、幕末瀬戸・美濃系、幕末~明治モノ、近代モノでは、志田窯製の富士山と帆掛け舟の皿(かつて江波皿と呼ばれていたタイプ)、染色体模様、染付型押し四方小皿、染付印刻小皿、菊花小皿、明治の手描きタイプ、たくさんの印判食器、釉剥ぎのある近代モノ、目跡のある銅版転写、蛇の目釉剥ぎのある銅版転写、ウイロー・パターン、昭和の盃、緑二重線、緑縦縞、統制番号入り、用途別では、食器の他、段重、水滴、壜、灯明具、おろし金、画材、便器、陶製人形、沈子など、あっという間に出てきました。後、紅皿と防衛食容器、陶製化粧品容器など、戦時中の代用品容器が出ていないくらいかしら。18世紀半ば以降の陶片のデパートですね、ここは。そのうえ、ごく僅かですが、広島では宮島くらいしか出ていない17世紀の青磁や染付、唐津の類いも出ています。今後、これらの18世紀半ば以前のモノ、つまり磁器食器普及以前のモノがどの程度出てくるかも気になるところです。それにしても、鞆の陶片の保存状態は決して良くありません。なぜなのでしょう。似島の陶片の保存状態が異常に良い理由とともに不思議です。
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今回の拾い物の中から、蝶々の皿2つを紹介します。右側は江戸後期、左は近代の銅版転写皿です。蝶は江戸時代の器にも、繰り返し描かれていますけど、その描き方が今と違うんです。羽の描き方を見てください。江戸時代のものは、上の羽が水平か、時には下に下がっているものがけっこう多いです。全部がそうとは限りませんけど。明治以降も、このタイプの描き方は続きますが、次第に羽を上向きに描くようになるようです。江戸時代~明治の陶磁器を見て思うのですが、当時の人は蝶と蛾を感覚的にどの程度区別していたのでしょうね。
by touhen03 | 2006-08-27 13:06 |