春の絵本

 この季節になると、足元の雑草たちが自然と目に入るようになり、思わずじっと見つめてしまいます。そんな時思い出すのがこの絵本。「雑草のくらしーあき地の五年間ー」甲斐信枝作(福音館書店)です。
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 畑あとの空き地に雑草が茂っていくようすを5年間観察して絵本にしたものです。メヒシバやエノコログサの生えた地面は、オオアレチノギクやカラスノエンドウなどの茂る草むらへと変わり、ついにはセイタカアワダチソウやクズ、ヤブガラシにびっしりと覆われていきます。丁寧な観察に基づく雑草の絵と、簡潔で美しい文章が書かれています。科学絵本ですが、これほど幻想的な本は滅多にないと思っています。雑草と呼ばれる草たちの生命力と、そこから生まれる美しさに驚きます。私は田舎で育ったので、子どもの頃、じっと見つめた草むら、ちぎって遊んだ草の感触が甦り、思わず外に出たくなります。
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 私は気に入った絵本があると、つい買ってしまいます。見せてあげる子どもがいるわけではないのに、そうやって集めてしまった本が幾らかあります。コレクションを見ていると、どうやら私の共通した好みがあるようです。手抜きがなく、手間をかけて作られ、過剰な装飾なしに美しい。絵本の外に空間がどこまでも広がっている。作品と私の妄想が一緒になって、絵本の中なのか、屋外なのか、わからなくなるほど広い作品世界。なーんて、作る方はさぞ大変でしょうに、読む方は勝手なことを言います。

 私の陶片も、ただ好きで夢中で拾い集めているうちに、どこへ向かうのか自分でもわからなくなることがあります。陶片のことを知りたくて、論文の類いも読みますが、その緻密さに私は驚いてしまいます。私の頭にはこんな緻密さはないなあ・・・としみじみ思います。干潟で拾いあげた陶片を手に乗せて、妄想に浸る。これが私の世界です。ただ、それでも緻密な知識の世界の方をたえず向いていようと思います。私の頭には明らかに向いていないのですが、いや向いていなからこそ、陶片幻想(いや妄想か)を少しでも楽しい、おもしろい、質の良いものにしていくために。そして、ちょっと迷ったきに、これらの素敵な絵本たちは、昔の船乗り達が見た空の星のように、遥かな世界から道しるべになってくれるような気がしています。(これまた妄想か・・・)迷った時は遠くを見る。どんな場所からでも見える星のようなモノや作品や、そういうものを側に置いておこうと思う。
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ところで、これは草むらに置いてみた鞆の陶片です。ちょっと別の雰囲気が出てくると思いませんか。瑞々しく生えてきた草たちが気になるこの季節には、こんな遊びも悪くないかなと思いました。
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by touhen03 | 2007-04-12 09:32 | その他