9月24日の鞆 その5

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 今回拾った江戸時代の染付と、近代以前のすり鉢です。一番下の段、右端の陶片だけは雁木下で拾いましたが、残りは埋立予定地の干潟から出たものです。あいかわらず鞆の陶片は保存状態が悪いです。そう珍しいものでもありません。しかし、近代以前の陶片が毎回これくらいの量は出てくるのです。去年の6月から鞆に通い始めて、今回で15回目になりますが、埋立予定地の干潟だけで300個近く拾っています。もっと長い時間をかけて拾うことができるなら、どんなにかおもしろいことだろうと思います。

 鞆の陶片は地味です。干潟の焚場遺構も丁寧な説明を聞かなければ、観光客にとって、どう見てもおもしろいものではなさそうです。大切な遺跡ですがものすごく地味なのです。そのうえほとんど水面下で見えません。しかし鞆の町並を作ったのは港で、そして木造船で賑わった港にとって、フナクイムシを防ぐための焚場は大切なものでした。栄えた町から出たゴミの一部も干潟に捨てられ堆積しました。昔のゴミは人々が生きた証です。あの地味で汚く見える干潟に鞆の町を支えたものが眠っています。町並みを観光資源としてだけ捉えると、派手な部分さえ残しておけば良いとなりがちのようです。けれども、町並み散策は、実は想像力と一緒に歩くことです。町を訪れる人の目に見える部分の下に、しっかりした歴史の根っこが残っていなければ、本物の歴史的建造物でできた、小さなテーマパークや映画村になりかねないと思っています。どうかそんな保存をしないでほしいと思います。
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by touhen03 | 2007-10-05 07:01 |