木星のカケラ

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宮島の干潟を歩いていて、木星の破片が落ちている!と思いました。表面の模様が似ています。刷毛目タイプの肥前系陶器、大きな甕だったのでしょうか、分厚い陶片です。たぶん江戸時代のものでしょう。本来なら同じ刷毛目タイプの陶片をしまってある引き出しの中に納まるところなのですが、これだけは窓のそばの透明なウォール・ポケットの中にあって、一日の終わりに私は布団の中からこの陶片を見つめます。とくに珍しい模様でもなく、縁や底の部分が残っていないので、元の形がどんなものだったか、私にはわかりません。けれども陶片は、干潟で太陽に焼かれ、濡れたガーゼのような泥に潜り、ひたひたと押し寄せる満潮時の冷たい海水に浸かって真っ暗な夜を過ごし、浅い海の底でゆらゆらと陽の光を感じながら、惑星のカケラへと育ちました。この小さな陶片には地平線があって、どこまでも歩いていけそうな気がします。陶片には宇宙があるんです。器は砕け散って木星となりました。
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by touhen03 | 2005-08-28 20:52 | 陶片コレクション