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西部の門

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西部埋立第5公園にある西部の門は、空充秋作の楽しい屋外彫刻です。上の写真、手前のふしぎな形の石はまるで後ろの門から飛び出してきたように見えます。でも、実は大きさがまるで違うのです。手前の石は人の背より少し高いくらいですが、門の方は天を突くような大きなモニュメントです。それが角度によって、石が遊びにふらふらと出てきたような錯覚をおこさせます。石が歩いて出たあとの、ふしぎな形の穴からは、イチョウ並木が見えます。反対側からだと、春なら桜が顔を覗かせます。ふしぎな形に切り抜かれた風景はもう、石の中の世界で、ここを通り抜けることで、人は別の世界へ移動します。私の職場が移転するまでは、昼休みになると、私は時々ここへ来て、西部の門を眺めました。天気の良い日に門の下に立つと、門の質量が突然消えて、そのままモニュメントごと、青い空にすーっと、高く、高く、吸い込まれていきそうな気がします。足元を見ると、今度は門の下に、何か埋まっていそうな気がしてワクワクします。雨の日に見上げると、石が大気の水分をくわえ込んで、苦々しい陰影を宿し、拳骨のような姿で大地にめり込んでいました。その日の気分によっても、不思議な楽しい空間だったり、私の心を怯えさせるものだったりします。広島にはたくさん屋外彫刻がありますが、西部の門は私のもっとも好きな作品です。それにしても、空充秋さん、晴れた日の西部の門には、たくさんのハトがとまっていることがあります。乾いた色の門とハトはまるで同じ物質でできているかのようで、門の形がほんの少し違って見えるんです。あれも計算しておられたのでしょうか?
by touhen03 | 2005-10-19 00:24 | その他