2007年 10月 05日
9月24日の鞆 その5
鞆の陶片は地味です。干潟の焚場遺構も丁寧な説明を聞かなければ、観光客にとって、どう見てもおもしろいものではなさそうです。大切な遺跡ですがものすごく地味なのです。そのうえほとんど水面下で見えません。しかし鞆の町並を作ったのは港で、そして木造船で賑わった港にとって、フナクイムシを防ぐための焚場は大切なものでした。栄えた町から出たゴミの一部も干潟に捨てられ堆積しました。昔のゴミは人々が生きた証です。あの地味で汚く見える干潟に鞆の町を支えたものが眠っています。町並みを観光資源としてだけ捉えると、派手な部分さえ残しておけば良いとなりがちのようです。けれども、町並み散策は、実は想像力と一緒に歩くことです。町を訪れる人の目に見える部分の下に、しっかりした歴史の根っこが残っていなければ、本物の歴史的建造物でできた、小さなテーマパークや映画村になりかねないと思っています。どうかそんな保存をしないでほしいと思います。